オフィシャルブログ

月別アーカイブ: 2025年6月

リペアセッペのよもやま話~part17~

皆さんこんにちは!

リペアセッペの更新担当の中西です!

 

さて今回のよもやま話では

【壊れたものを直すだけじゃない】

建物は時間とともに劣化します。しかし、適切な補修を行えば寿命は大きく延ばすことができます。そんな「建物の健康を守る」役割を担うのが補修工事の職人たちです。補修は単なる修繕ではなく、原因を読み、素材を選び、未来を見据える判断力が必要な専門技術です。

この記事では、補修工事の世界で“一人前”と認められる職人になるまでのリアルな道のりを、ステップごとに紹介します。


1. 【入門期】道具・材料・現場の流れに慣れる

■ 主な作業

  • 清掃、材料の準備、足場周辺の補助作業

  • ハンマー、コテ、グラインダー、刷毛などの道具の名前と使い方を覚える

■ 学びのポイント

  • 「どの作業が何の目的で行われているのか」を理解する姿勢

  • 職人の動きをよく観察し、「次に何が必要か」を察知する感覚を育てる

目標:「現場で“足手まとい”にならず動ける」状態を目指す


2. 【技術習得期】補修の基本技術を手で覚える

■ 習得する作業

  • コンクリートの斫り(はつり)・クラック補修・左官補修

  • モルタルの練り・混合比率・塗り厚・乾燥時間の感覚を体得

  • 防水材・接着剤などの塗布、養生の方法

■ 実務的な力

  • 材料が「どう動くか」「どう固まるか」を感覚で理解

  • クレームにならない「仕上がり感覚」へのこだわりを覚える

目標:「ひとつの補修箇所を任され、自力で施工できる」


3. 【応用期】施工判断とトラブル対応力を高める

■ 判断力が求められる場面

  • 構造体の腐食や中性化の見極め

  • ひび割れの種類(乾燥・構造・収縮)ごとの補修方法選定

  • 雨天・温度差など、施工環境への対応

■ コミュニケーション力

  • 職長や他職種との調整

  • 作業内容の説明・報告がスムーズにできるように

目標:「“現場の空気”を読んで適切に判断し、先手を打てる」


4. 【一人前】施工品質・信頼・人材育成までこなせる職人

■ 技術面

  • 下地処理~仕上げまでの一連作業を高品質に完結

  • 補修後に「補修したとは思えない」自然な仕上がりを実現

■ 人間力

  • 若手職人への指導と教育

  • トラブル時の冷静な対応、クレーム対応の知見

■ 信頼の証

  • 監督や元請けから「この人に任せれば大丈夫」と言われる存在になる

一人前とは:「技術だけでなく、安心と信頼を現場に与えられる人」


5. 一人前になるまでの時間と心構え

■ 一般的な期間

  • 5~8年程度が目安(個人差あり)

■ 成長に必要な心構え

  • 「失敗から学ぶ姿勢」を持ち続ける

  • 単に作業を覚えるのではなく「“なぜ”を考える習慣」を持つ

  • 素材・気候・建物ごとの違いを楽しむ好奇心


おわりに

補修工事とは、「壊れたものを直す」ことを超えて、“建物を未来へつなぐ技術と心”を注ぐ仕事です。一人前になるには時間と経験が必要ですが、その道のりの中で身につけるのは、**技術とともに“人に信頼される力”**です。

リペアセッペのよもやま話~part16~

皆さんこんにちは!

リペアセッペの更新担当の中西です!

 

さて今回のよもやま話では

【見えないリスクにどう向き合うか?】

 

 

補修工事で起きやすいトラブルとその防止策

はじめに

外壁のひび割れ、防水層の劣化、コンクリートの剥離――建物を長く使い続けるために欠かせないのが補修工事です。しかし、「直すための工事」であるはずの補修工事では、想定外のトラブルがしばしば発生します。

この記事では、補修工事業において特に起きやすいトラブルとその背景、対策のあり方について、実務者の視点から深く掘り下げます。


1. 【トラブル①】施工中の予想外の劣化発見

■ 事例

  • 外壁補修中に下地の腐食・錆・鉄筋露出が見つかる

  • 既存の設計図に記載のない隠れた構造物の存在

■ 背景

  • 調査・診断が十分でないまま施工に入るケース

  • 図面と現況の乖離が多い古い建物

■ 対策

  • 事前調査の徹底:打診・赤外線・X線など多様な非破壊検査の活用

  • 想定外対応のマニュアル整備と発注者への事前説明


2. 【トラブル②】材料や工法の“相性不良”

■ 事例

  • コンクリート補修後に剥がれや変色が発生

  • 既存防水層と新規材料の化学反応による不具合

■ 背景

  • 旧塗膜や既存材との化学的適合性を事前に確認していない

  • 安価な材料の選定や、施工者の知識不足

■ 対策

  • 材料メーカーとの協議・テスト施工

  • 使用材料のデータシート(MSDS)・実績確認の徹底


3. 【トラブル③】クレームに繋がる“仕上がりの違和感”

■ 事例

  • 補修部分と周囲の色・質感の違い

  • 凸凹やツヤの差が目立ってしまい、「直したはずが目立つ」

■ 背景

  • 部分補修の難しさ(既存材と新規材の風化差)

  • 顧客の期待値とのズレ

■ 対策

  • カラー調整・意匠補修の技術力向上

  • 事前に「補修跡が完全に消えない可能性」を丁寧に説明


4. 【トラブル④】安全管理の不備による事故・近隣トラブル

■ 事例

  • 仮設足場の転倒、工具や材料の落下

  • 近隣建物への汚れ飛散、騒音・振動によるクレーム

■ 背景

  • 短期工事・小規模工事で安全対策が軽視されがち

  • 近隣配慮の手順が不十分

■ 対策

  • KY活動(危険予知)と近隣説明の事前徹底

  • 養生シート・作業音配慮など周囲を意識した施工


5. 【トラブル⑤】工程遅延とそれに伴う信頼損失

■ 事例

  • 雨天続きで防水施工が遅れる

  • 想定外の補修量増加により工期オーバー

■ 背景

  • 余裕のないスケジューリング

  • 想定と現場実態の乖離

■ 対策

  • 「工期の幅」を持った工程表と、発注者への早期報告

  • 代替工法・応急対応の引き出しを持っておく


おわりに

補修工事とは「壊れたものを直す」仕事であると同時に、「壊れそうな問題を先回りして防ぐ」知恵の仕事でもあります。だからこそ、トラブルを“予見し、説明し、回避する”力が、補修業者にとって最も大切なスキルの一つです。